第69回 男性の骨粗鬆症は案外多い!?

骨粗鬆症は女性がなるものだと言う誤解や自分は男性だから骨粗鬆症にならないんだと思っておられる方に知ってもらいたいので今回はこちらをテーマにしました。2015年骨粗鬆症予防と治療ガイドラインによると骨密度検査(DEXA)で腰椎、大腿骨頸部いずれかで骨粗鬆症と診断される患者数は1280万人(男性300万人、女性1280万人)であり、男性も4人に1人が骨粗鬆症であるとされています。女性は加齢と閉経後女性ホルモンが減少して生じることが多いのですが、男性は加齢と糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、動脈硬化性疾患などの生活習慣病、慢性腎臓病、肝硬変、炎症性腸疾患などにより骨質が低下して生じることが多いとされます。最近の米での臨床研究でも35-50才の骨密度検査で骨量減少・骨粗鬆症が男性の34%に認め、運動量と負の相関が確認されたそうです。中高年男性は特に運動不足が骨粗鬆症と関係することは生活習慣病による二次的な骨粗鬆症が多いことを裏付ける結果であると考えます。また、男性の方が骨粗鬆症による骨折が死亡リスクの上昇や生活への支障度が女性より深刻であり、骨折後に寝たきりになったり死亡する割合が高いので、不安に思われた方は骨粗鬆症検診も山口県で行なっていますのでそちらを利用したり、整形外科にご相談ください。予防としては中高年からの適度な運動(先ずはウォーキングからがお勧めです)と食生活の改善(暴飲暴食、糖分・塩分を控える)を積み重ねていくことです。

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。