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第58回 慢性疼痛治療ガイドラインについて

2018年3月に厚労省の慢性疼痛の研究班と7学会が協力して慢性疼痛治療ガイドラインが発行されました。総論、薬物療法、インターベンショナル治療、心理的アプローチ、リハビリテーション、集学的治療からなり、51の質問項目に答えをエビデンスレベルと推奨度を記載されています。医療者向けですが患者さんの声を反映するように配慮してあります。慢性疼痛の定義は治療に要すると期待される時間の枠を超えて(概ね発症から3ヶ月以上)持続する痛み、あるいは進行性の非がん性疼痛に基づく痛みとされました。慢性疼痛の分類では要因別には侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、心理社会的疼痛がありますが、これらが複雑に絡んだ混合性疼痛になっていることが多く、痛みが長引くと心理社会的要因との相互作用により、抑うつ状態や破局的思考が関与して不動化などが出現し日常生活動作の低下が生じます。失業などにより社会活動性が低下すると家庭内での存在感や経済的ストレスが自己価値観の低下につながり、それに伴って自己効力感が低下するという悪循環が生じます。慢性疼痛の診断には問診、身体所見、検査(血液、画像)を駆使して正確な病態把握が必要であり、悪性腫瘍、感染性疾患や外傷性疾患を見逃さないようにすることも重要です。また原因となる疾患の診断だけでなく痛みを修飾している抑うつ、不安、不満感など心理的側面や行動の評価も必要です。慢性疼痛患者さんを評価する際に多面的評価が必要で、痛みの強さ、部位、性質、日内変動、増強。緩和因子、心理状態、日常生活の障害度、家族構成、精神疾患、職歴、仕事内容、補償、睡眠、食事、体重変化などにも注意が必要です。痛みを全人的に理解して個々の患者に適した治療やケアを選択します。慢性疼痛の治療における目的は痛みの軽減が治療の目的の一つではあるが、第1目標ではなく、治療による副作用をできるだけ少なくしながら痛みの管理を行い、日常生活動作や生活の質を向上させることが最終目標となります。

慢性疼痛の薬物療法については非ステロイド性抗炎症薬は運動器疼痛においては使用することを強く推奨する、神経障害性疼痛については使用しないことを弱く推奨する、アセトアミノフェンは運動器疼痛には使用することを強く推奨する、神経障害性疼痛については使用しないことを弱く推奨する、プレガバリンは運動器疼痛においては使用することを弱く推奨するとされましたが、副作用を考慮して、漫然とした長期使用は控えることも付け加えられました。。また神経障害性疼痛については使用することを強く推奨する、デュロキセチン、トラマドールは運動器疼痛、神経障害性疼痛については使用することを強く推奨する、漢方薬は運動器疼痛、神経障害性疼痛については使用することを弱く推奨されました。インターベンショナル治療(ブロック治療)については、硬膜外ステロイド薬注入、硬膜外ブロックは頚椎・腰椎椎間板ヘルニア、頚部・腰部脊柱管狭窄症に対しては強く推奨されました。神経根ブロックは腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症に対しては強く推奨され、頚椎疾患では弱く推奨されました。後枝内側枝ブロックは頚椎・腰椎由来の頚部、腰背部痛に施行することを強く推奨され、椎間関節ブロックは施行することを弱く推奨されました。

トリガーポイント注射は慢性疼痛には施行することを弱く推奨され、関節内注射は変形性膝関節症にはステロイド、ヒアルロン酸とも施行することを弱く推奨する、という内容でした。心理的アプローチについては、患者が受容しにくい疾患について正しい知識や情報を心理面に配慮しながら伝え、問題に対処する方法を教育、援助する心理教育、リラクゼーション、セルフモニタリング、コミュニケーションスキルなどの行動療法、認知行動療法、第3世代の認知行動療法であるマインドフルネス(心のあり様をマインドフルネス瞑想を通じて育成し、それにより身体的・心理社会的ストレスへの耐性が向上する)、アクセプタンス&コミットメントセラピー(痛みに関する不快な思考・感情を取り除くことに時間や気力を費やすのではなく、不快な事象が存在する状態が人間にとって正常な状態であることに気づき、患者が願う人生を送ることに支援する心理療法)はいずれも行うことを強く推奨されました。リハビリテーションについては慢性腰痛、変形性膝関節症、慢性頚部痛のいずれも施行することを強く推奨され、ヨガ、太極拳、気候、ピラティス、ラジオ体操は施行することを弱く推奨するという結果でした。また腰部固定帯や頚椎カラー、テーピングは慢性疼痛治療には推奨されませんでした。また理学療法士のみでなく様々な医療者がチームを組み、共通の目標に向かってリハビリテーションプログラムの遂行にあたり、支援する集学的リハビリテーションも慢性疼痛に強く推奨されました。集学的治療を始めるにあたっては各種の医療従事者が痛みに対する解剖学的・生理学的知識を身につけ、痛みに影響を及ぼす心理社会的要因を理解し、疼痛治療の基本的原則を理解した上で生物心理社会モデルに則って治療するという共通認識を持つことが重要であり、まず身体機能を改善させ、痛みがあってもある程度の活動ができることを経験させて自信を取り戻させることによって痛みで障害された情動機能を回復させることが目的であり、最終目標は患者さんごとに異なりますが、生活の質を向上させることです。