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脊椎腫瘍

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脊椎腫瘍(原発性、転移性)

見逃してはならない疾患の代表的なものが脊椎腫瘍があります。X線で脊椎の病的骨折がある場合と明らかな骨折がない場合があるので要注意です。安静時痛、通常の痛み止めが効かないことが特徴的で、癌の既往も転移を疑うヒントになりますが、多発性骨髄腫や悪性リンパ腫も比較的頻度が高いです。X線で骨折がはっきりしない場合にはMRIを可及的早期に撮像することで診断します。当院でも山口済生会病院放射線部と病診連携しており早期発見に努めています。

癌による死亡数30万人/年で死亡率1位ですが、この背景にはがん治療の進歩、生命予後延長による骨転移が急増した事実があり、年間10-25万人、全体で100万人超といわれており、がんの骨転移は決して稀な疾患ではないことを念頭に置いて診断にあたる必要があります。
肺癌と乳癌が整形外科関与骨転移の半数を占め、第3位が前立腺癌で、そのうち脊椎転移の頻度は3-5割です。整形外科初診時原発不明癌の頻度は肺癌34%、多発性骨髄腫14%、前立腺癌12%、悪性リンパ腫9%、乳癌7%、腎癌・肝癌6%となっています(がん骨転移ハンドブックより)。
この中で原発性癌は多発性骨髄腫と悪性リンパ腫になります。
これは血液、またはリンパのがんでこの頻度は決して少なくなく、常に念頭に置いておく必要があります。

腰背部痛患者の骨転移早期診断のポイントとして癌(手術)の既往の有無、安静時痛、夜間痛、治療抵抗性、多彩な神経症状などがあります。原発巣検索のためには全身のCT撮像が有効で、骨シンチ撮像より最近ではPETに変わっていきますが、脊椎転移の早期診断にはX線よりMRIが最も有用です。

癌骨転移の組織型による分類として溶骨型(骨が溶けるー輪郭がなくなる)、 
造骨型(骨が白くなる、代表的疾患として前立腺、乳癌)、腰骨型と贈骨型の混合型がありましたが、最近では骨梁間型(がん細胞が骨の構造の間を広がるタイプ)が3割を占め、X線、CTでも早期発見は困難で、MRIでないと早期発見は難しいといわれています。 (肺小細胞癌、肝癌、膵癌の転移が代表的です)
脊椎X線写真でがん転移の代表的な所見とされるふくろうの目サインは溶骨型の代表ですが、X線で診断されるのは進行期の所見ですので、55才以上でがんの既往のある方で安静時にも腰痛、背部痛があり、治療に抵抗する場合には脊椎のMRI撮像をお勧めしています。
そこで早期発見できれば、次に原発巣の検索を行いますが、全身のCT検査や腫瘍マーカーで絞り込みますが、それでも不明の場合には骨生検を行います。
これは入院が必要ですが、X線透視下かCTガイド下に骨生検針を局所麻酔で椎体後方から刺入し前方の椎体の組織を採取します。要する時間は(慣れた術者が行えば)数分で安全に行えますが,がんの種類によっては予想外の出血をすることもありますので最新の注意が必要です。採取した組織はホルマリンの中に入れて1週間ぐらいで病理専門医に診断していただきます。原発性・転移性脊椎腫瘍の治療は放射線治療、化学療法(抗がん剤など)、手術療法がありますが、がんの種類によってどの治療法が有効かを内科,外科の先生方と相談して(組み合わせて)治療しますが、手術的治療の適応は、余命が3−6ヶ月以上期待できること、進行性の麻痺の場合に緊急手術を行うこともあり、その場合には麻痺のある部位の後方部分を椎弓切除して脊髄の圧迫を介助することと、早期離床のためにインスツルメントという金属をその上下の脊椎に多数挿入します。

近年金沢大学の冨田名誉教授の考案された脊椎全摘術(脊椎腫瘍を全周性に摘出する手術)により転移性腫瘍でも救命率、予後が向上しましたが、一般病院では困難であり、一層の普及が待たれる所です。