日医かかりつけ医機能研修会その1

日医かかりつけ医機能研修制度の研修会が5/22山口市医師会で開催されたので参加しました。東京である研修会をウェブで受講できましたが駐車場がいっぱいで遠くに止めなければなりませんでした。
特に印象的だったのがフレイル予防、高齢者総合的機能(CGA)老年症候群の講演で、男性の19パーセント女性の12パーセントが60才以上に急速に自立度が低下する直下型フローと男性の70パーセント女性の88パーセントが75才を境に自立度が低下する廃用フローが存在します。フレイルは虚弱のことで心身機能の著明な低下のことであり、身体の虚弱、精神心理、認知性の虚弱、社会性の虚弱があり必ずしも身体の虚弱のみではありません。フレイル概念における4つのフェーズからみた一連のアプローチ施策とは、剛健から健弱(メタボ予防:たっぷり運動、適正なダイエット)、前脆弱(プレフレイル:フレイル予防、しっかり歩く、しっかり噛んで食べる、社会性を保つ:早期予防重視型)、フレイル(要支援から要介護1-2:しっかりリハビリ、口腔ケア、栄養管理、少しでも外へ出る:自立支援ケア型)、要介護3-5(医療介護住まいを含めたトータルケアシステム)があり健康からプレフレイルまでにいかに予防するかを自助互助共助の精神下に意識することが重要となります。BMIパラドックスという高齢者では肥満より痩せの方が生命予後が悪いというデータがあり、高齢者の体重減少低栄養の原因として疾病、社会的要因、加齢、精神心理的要因などがあります。サルコペニアとは筋肉減少症でフレイルの最大の要因となります。ヒトの筋肉量は40代より低下が始まり、年0、5パーセント減少し65才以上減少率が増加して80才までに30-40パーセント低下します。診断基準は四肢の低筋肉量減少を必須とし、低筋力(握力)又は低身体能力を有するものです。一次性は加齢によるもの、二次性は活動、疾患、栄養に関連するものがあり、フレイルやサルコペニア対策として必須アミノ酸(特にロイシン)と運動を同時に行うことが重要であり、低栄養評価に体重減少率やアルブミン値などがあり、主観的包括的栄養評価(SGA)、MNAという評価法も紹介されました。
フレイルドミノにならないためには社会性をしっかり高く保つことが最も重要であり、健康長寿のための3つの柱として栄養、身体活動、社会参加がありしっかり噛んでしっかり食べしっかり動き社会性を高く保つことを高齢者のサルコペニア、フレイル予防として伝えていくべきであるとのことでした。
高齢者総合的機能評価(CGA)の紹介をされ、老年症候群とは治療と同時に介護ケアが重要である一連の症状所見のことであり、急性疾患関連、慢性疾患関連、要介護関連があり、簡易型CGAもスクリーニングとして紹介されました。

 

この記事を書いた人

とよた整形外科クリニック 理事長

豊田 耕一郎

山口大学医学部、山口大学大学院卒業後山口大学医学部附属病院、国立浜田医療センター、小野田市立病院、山口大学医学部助教、講師を経て山口県立総合医療センターで脊椎手術、リハビリ部長を兼任後、2012年4月からとよた整形外科クリニックを開院。
専門性を生かした腰痛、肩こりの診断、ブロック治療、理学療法士による運動療法、手術適応の判断を迅速に行うことをモットーとし、骨粗鬆症、エコーによる診断、運動器全般の治療に取り組んでいます。